初めての恋は社内恋愛だった。
1歳年上の彼と急接近したのは、彼女が名古屋市の商社に勤めていた時のこと。22歳だった。
営業部の彼はとにかくかっこいい。外回りが多く会社にいることは少なかったが、たまに会社に上がってきた時は目立っていた。
ある日、勇気を出して「レコードを買いたいんだけど、一緒に見てくれない?」と声をかけてみた。そのまま2人で名古屋駅のレコード屋に行った。
それから何度も2人で会った。
書類にメモを挟んで…数え切れないほど重ねたデート
彼は会社に上がってきた時、「5時半」「6時」などと書かれたメモを書類に挟んで渡してきた。名古屋駅での待ち合わせ時間だ。会社帰りに数え切れないほど2人で食事をした。
ファーストキスはミニスカートのワンピースを着て出かけた夏祭り。周りにたくさん人がいるのに、急に抱き寄せられた。
友だちカップルと泊まりがけで海水浴にも行った。みんなで同じ部屋で雑魚寝だったけれど、ずっとドキドキしっぱなし。秋には実家暮らしの彼の家に招かれ、お母さんにごあいさつもした。
彼女には彼と付き合う前にウワサになった男性がいた。その男性には婚約者がいたし彼女も恋心は抱いていなかったのだが、彼との仲が会社で知られるようになると、彼の耳にもその話が入ったようだ。
10月末。公園で「あいつと何があったのか。君のことをもっと多く知りたい。必ず返事を書くから手紙を書いてほしい」と言われた。その男性とは何もなかったことを手紙で伝えた。
その年の大みそか。彼から速達で手紙が届いた。
大切にしてくれた年末年始、でも彼は…
《僕の心境は真面目一本》《…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル